サービス管理責任者とは、介護施設や障害者支援施設といった福祉機関で働く人々のリーダーであり、支援サービスの舵を取る重要な役割です。
また、障害者総合福祉法で福祉サービスを提供する施設に配属されることが義務付けられているほど重要な職業です。
福祉業界で働くことの熱が高まっている中で「働くならやりがいのある管理職や給与の高い役職に就きたい」と思う方は多いです。そこでサービス管理責任者として働くために資格取得や就職までの流れを解説していきます。
【新田 敏美】
就労移行支援事業所の支援員として働いています。福祉従事者の立場だからこそわかることを客観的に紹介していきます。お役に立てましたら嬉しいです!
目次
サービス管理責任者(サビ管)とは
サービス管理責任者(サビ管)とは、多くの障害福祉サービスにおいて配置が義務付けられている職種です。
事業所の全体的な管理を行い、適切でより良いサービスが行えるよう利用者へのサービスを計画・管理を行います。
また、事業所のスタッフのマネジメントや他事業者や各関係機関との連携を代表して行うことも多いです。そのため、福祉サービスに関する深い理解と豊富な知識だけでなく、管理職やリーダーとして働ける力が必要になります。
サービス管理責任者の仕事内容
サービス管理責任者の仕事は主に3つです。
- 個別指導計画の作成・経過管理
事業所の利用者に対して行うサービスを計画する個別支援計画をはじめに作成し、スタッフにサービスの指示を出します。事業所を訪れた方とその家族などと面談をし、利用の目的や目標、支援内容を計画していきます。その後、サービスを開始し状況に応じて計画の内容を変更します。
- スタッフのマネジメント
サービス管理責任者は福祉に関する豊富な知識と経験を持った方という位置付けになっています。そのため、事業所のスタッフがより良いサービスや支援を行えるように指導しなければなりません。
- 関係機関との連携
医療機関や行政などとの連携は利用者が事業所での活動をスムーズにさせるために欠かせない業務です。より良いサービスを提供するために他の事業所とも連携をとることもあります。その際、事業所の責任者として活躍しなければなりません。
サービス管理責任者の月収
サービス管理責任者の平均月収は38万円です。
また、非常勤のサービス管理責任者の月収は20万円です。サービス管理責任者の平均給与は年々増加傾向にあるので、おすすめの職業です。
参照:平成29年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果
サービス管理責任者になるには実務経験や研修が必要
サービス管理責任者になるには、5年から10年の実務経験と研修の終了をしていなければなれません。
しかし、やむを得ない形で事業所にサービス管理責任者が欠けた場合には一年間その事業所の他のスタッフの実務経験のある者を研修修了した者と見なすことができます。
サービス管理責任者になる方法
サービス管理責任者として働くには、実務経験を経て研修を受講する必要があります。
研修は「相談支援従事者初任者研修」と「サービス管理責任者研修」を受ける必要があります。
サービス管理責任者となるためには上記の研修に修了するのみで試験などはありません。研修についても費用は掛かりません。
ただ、各都道府県が主催する研修には募集定員や申し込み期間があるのでよく調べて早めに申し込みましょう。
試験があるわけではないので難易度はそれほど高くありません。研修自体も2つの研修を合わせて1週間(40時間)ほどで修了できるので、福祉業界で働く方ならぜひ取得しましょう。
実務経験
サービス管理責任者となるには5年から10年の実務経験が必要です。
「相談支援従事者初任者研修」は2年分引いた実務経験から受講できます。そのため、所属する施設に応じて3年から8年以上の実務経験、または保有資格に応じて1年から5年以上の実務経験が条件になります。
下記のいずれかの経験が必要です。(実務経験の年数に関しては、地域によって異なる場合があります。)
- 相談支援業務:規定の事業所や施設等で3年以上
- 直接支援業務:規定の事業所や施設等で8年以上
- 直接支援業務(有資格者):社会福祉主事任用資格所有者、介護職員初任者研修修了者、保育士、児童指導員任用資格者、精神障害者社会復帰指導員任用資格者などの業務に従事し5年以上
- 国家資格等の保持者:国家資格等(※)の業務に従事し1年以上
(※)国家資格等:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復士、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士
相談支援従事者初任者研修
各都道府県において6日間講習が開かれます。そのうち、修了要件となる部分の11.5時間の講習を受ければ終了です。すべての講習を受ける必要はなく、約2日から3日ほどで終えることができます。
サービス管理責任者研修
サービス管理責任者研修には、基礎研修と実践研修の2つがあります。
基礎研修では、基礎講義と実務を2日間(約15時間)実施します。サービスの提供や個別指導計画についての基礎的な講義と個別指導計画を実際に作成する実習などがあります。実践研修では約15時間の講習と実習を行います。施設の運営やスタッフのマネジメントなどについても学びます。
なお、サービス管理責任者の資格は5年毎に「サービス管理責任者等更新研修」を修了し更新することが必要です。
サービス管理責任者が働ける場所
サービス管理者が働ける職場としては、主に障害福祉サービスになります。以下の障害福祉サービスでは、サービス管理責任者の配置が義務付けられています。
療養介護
病院等に入院している障害のある方に対して、機能訓練の介護や日常生活上の世話を行います。
生活介護
障害者支援施設等に通所している方に、主に日中の日常生活の介護や創作的活動や生産活動の機会の提供します。
ケアホーム(共同生活介護)
共同生活を営む住居に入居している障害のある方に対し、主に夜間の介護や生活援助などを行います。
自立訓練(機能訓練・生活訓練)
機能訓練では、身体障害者や難病のある方の住まい(入所施設を含む)を訪問してリハビリや相談などを行います。
生活訓練では、知的障害や精神障害がある方の住まい(入所施設を含む)を訪問して自立した日常生活を送るための訓練の提供や相談などを行います。
宿泊型自立訓練
知的障害や精神障害がある方に対して、昼夜を通して家事等の日常生活の支援や相談などを行います。
就労移行支援
一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを行います。
就労継続支援(A型・B型)
就労継続支援A型は、障害のある方が一般企業への就職が不安、あるいは困難な場合に、一定の支援がある職場で雇用契約を結んだ上で働くことが可能です。
就労継続支援B型は、雇用契約を結ばないで軽作業などの就労訓練を行うことができます。
グループホーム(共同生活援助)
障害のある方に対して、共同生活を営む住居にて夜間に相談、入浴、排せつまたは食事の介護、その他の日常生活上の援助を行います。
サービス管理責任者で転職する際におすすめな転職サイト
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実務経験を経て、サービス管理責任者として働く
いかがでしたか?
今回は、サービス管理責任者の概要や資格取得方法をご紹介しました。
障害福祉サービスの中で、サービス管理責任者の仕事は重要な役割であり、責任はありますがやりがいのある職種です。
研修を経てサービス管理責任者になる資格を得ることで、より自分ができるサービスや支援の幅が広がります。
福祉業界で働いている方は、経験を活かしてキャリアアップする際に選択肢の一つとして、サービス管理責任者をおすすめします。
この記事が転職活動やキャリアアップのお役に立てましたら嬉しいです。